天使もひとり子も

野田栄美牧師夫人

 年末はだれにとっても忙しい時期です。特に、受験生の皆さんにとっては、試験を目前に控え、緊張が高まる時期でもあります。ご家族は、本人にとって最善の学校へ進むことができるようにと、祈っておられることでしょう。親にとって子どもの幸せは、自分の幸せ以上のものです。あの学校の環境はどうだろうか、能力を伸ばせるだろうか、良い友人ができるだろうかと、様々なことを思いめぐらします。子どもが辛い思いをすると思われるところには、行かせたいとは思いません。

 そう思うと、父なる神が、私たちのためにたった一人の子どもである、イエス様を送って下さったことが、どんなに大きな犠牲だったかと思うのです。自分の一人息子を地上に送れば、必ず苦しみに合うことが、はっきりと分かっておられました。心が引き裂かれるような思いでしょうか。そうまでして、成し遂げたかったことがあったというのです。それは、私たちを神の子どもとして迎えたいということでした。

 先日、施設に入所されている一人の姉妹を訪問しました。姉妹は、今、人の名前も分からないことが多くなっておられます。辛い状況と思える中で、姉妹はこう私に話してくださいました。「神様が私に天使を遣わしてくださっているから、寂しくないんですよ。今も天使の羽の音がパタパタと聞こえるんです」と。そのお話を聞いて、詩篇91:11を思い出しました。『主があなたのために天使たちに命じて、あなたの歩むすべての道で、あなたを守らせられる。』という言葉です。

 年をとり、自分で生活することができなくなる。礼拝に出ることが難しくなる。それは寂しく、辛いことです。そのような中で、この姉妹は、常に神様が守って下さっていることを知っておられます。そして、そのことを笑顔で話されるのです。

 これこそがイエス様が人を愛しておられる証拠だと思いました。自分の召使をその人に送ること、自分の子どもまでもその人のために送ること、それは、心からその人が大好きで大切で、自分の家族のように思い、愛していなければできないことです。神様は、この姉妹を心から愛してくださっているのだと感じました。

神様は、あなたのことも家族のように大切で、愛しているよと言っておられます。そして、自分のひとり子を、あなたを助けるために送るよと言って下さったのです。

『神はそのひとり子を賜ったほどに、
この世を愛して下さった』
– ヨハネによる福音書3章16節 –

 クリスマスは、その神のひとり子であるイエス様が、私たちのためにこの世に来て下さった日です。この愛に満ちた日を心からお祝いしましょう。

2016年12月号