休暇の恵み

          古川信一牧師

 8月最後の1週間休暇をいただいて、私の故郷、四国の新居浜の実家に帰省させていただきました。飛行機で羽田から、1時間20分ほどで松山に着き、松山から新居浜まで、特急電車だと海岸沿いを迂回するようにして、1時間で着くのですが、今回は山間部を2時間かけて、直線で横断する路線バスを使うことにしました。「桜三里」と呼ばれる美しい渓谷を眺めながら、懐かしい故郷の景色に、かつて様々な場面で、ここを車で走ったことが思い起こされました。

 バスは夕方の渋滞と重なって、父に伝えた待ち合わせの時間を20分も遅れて新居浜駅に着いたのですが、父は待っていてくれて、笑顔で迎えてくれました。

 車で5分ほどのところに家があり、母は待ちかねていたように、ベッドに座っていました。自力で歩けなくなって、車椅子生活が7年ぐらいになる78歳の母は、以前はベッドから車椅子に移ることさえ困難だったのが、最近は少しそれが出来るようになったと話してくれました。そして星野富弘さんの姿からヒントを得て、業者を通して電動車椅子をレンタルしたそうで、私たちの見ている前で電動車椅子に移り、まだ慣れないと言いながら、レバーを得意そうに操作している母の姿が、以前より生き生きとしているように見えました。

 動けない母の身の回りのことを、76歳の父がすべて引き受けています。母がすぐにしてほしいことがあっても、父は別のことをしていて、そこで気持ちがぶつかり合うことも少なくないようですが、それでもお互いを受け入れあい、助け合いながら共に生きている両親の真ん中に、神さまが見えるようで、その生き様にはいつも本当に励ましと慰めを感じさせられます。

 母との話の中で印象的だったことは、市内のある他教団の先生と関わりができて、訪ねてきてくれて交わりをもったことがあったようです。その先生がこの春転任されたことを聞いて、移転先を聞こうと今までおられた教会に電話をしたというのです。電話に出たその教会の新しい先生というのが、何と私の聖書学院の同級生の牧師だということが、母と話す中でそのとき初めてわかったので、母も私も「ええっ!」と言ってびっくりしたことでした。さらにその私と同じときに学んだ先生の教会は、私の弟が仕事で今も関わりがあって、弟も知っているということも更に判明して、何という不思議なつながりだろうかと、主のわざをそこに見させられるようでした。実は母は、その方の祖父に当たる有名な先生と昔バイブルキャンプで、講師とカウンセラーの関係で一緒に写った写真を持っていたので、その孫にあたるのが私と同期の先生だとわかって、ちょうど写真を送ろうとしていたところだったそうです。学院で共に学んで、よく知っている私と家内は次の日連絡を取り、その教会を訪ね、写真をお渡しして、交わりと祈りのときが与えられ、互いに不思議な導きを感謝しました。

 また、父の話でも主の不思議な恵みの導きを改めて感じたことがありました。

             続く 

2008年9月号