カーナビとウミガメと飛行機
古川信一牧師
道がわからないということは、心細いものであり、車を運転する時、方向がわからないまま進んでいくのは、不安なことですね。カーナビは、大変便利なもので、私も妻も教会の車にナビがあることで、どこへ行くにも地図で事前の下調べをする必要がなく、出発してからも進路について心配することもなく、分岐点でお互いの見解を戦わせる必要もないので、ナビは、夫婦の会話を弾ませることにも、貢献してくれているようです。
先日、ナビのない車を運転することになり、今まで何度も行った場所へ行こうとしたところ、途中で迷ってしまい、辿り着くのに苦労しました。それは、普段ナビの命ずるままに、全く従順に、何も考えずに運転するので、道をはっきり覚えていないからでした。
私の知人に地図をよく見たり、調べたりする方がおられます。一緒に車に乗る機会があった時、ナビが示さない道を教えてくれるほど、道をよく知っておられ、記憶しておられることに、感心させられたことがありました。
カーナビは確かに便利だし、楽だし、正確に私たちを目的の場所へと導いてくれますが、方向感覚を磨くという意味では、地図を頼りに間違いながらでも、身体で道を覚えていくこともまた、大切な経験であるような気がしてなりません。
ウミガメは「海の航海者」と言われるそうです。現在、地球上に8種類のウミガメが生息しており、世界中の熱帯、亜熱帯、温帯の海に分布し、一生のほとんどを海の中で生活します。彼らは海の中を、数千キロメートル以上も移動したり、時速30キロメートル以上で泳ぐこともでき、地球の磁場、海流の流れなどで方角を知ると考えられています。ウミガメはあの広い大海原を、方向を迷わずに進むための「ナビ」を、自らのうちにもっているようなものかもしれません。
空にも道があるそうです。飛行機は大空をいかにしてコースから外れないで、安全に飛んでいるのでしょうか。飛行機の大小にかかわらず、必ず装備される2つの計器は、ラジオコンパスと人工水平儀なのだそうです。飛行機が厚い雲の中で視界が完全に遮られてしまうと、パイロットは自分が上昇しているのか、下降しているのか、判断できなくなると言われます。だから基準点が必要なのです。
あなたの人生航路を導く「ナビ」は何でしょうか。
「わたしは道であり、真理であり、命である」。
– ヨハネによる福音書14章6節 –
2010年7月号