パスポートを忘れない

山脇望牧師

(休暇の旅)

 ユーナイテッド航空といえば、最近、イギリスにてテロによる飛行機爆破事件が起きようとしたことで知られている航空会社の飛行機です。

 今回、休暇をいただいて、シアトルにお住みのカペルご家族と、50年近い日本での宣教活動を終えて帰国されたアモス師ご夫妻を訪問する機会をもちました。そのために利用した飛行機がこれでした。

 あの事件後、他の会社も厳格に検閲を行っているようですが、この会社はさらに厳しいと言われておりました。機内持込物は徹底的にチェックされ、私などは靴まで脱がされ、髪の毛の中に隠していないか・・と、厳しいものでした。

「私を信用しないのか・・」と不満な心をいだいても、徹底的に疑われるひとときでした。

 液体なるもの、刃物なるものはすべて荷物扱いとなり、降機の後もどされます。

 そして、持っていてはいけないものと反対に、絶対に持っていなければならないもの、それは“パスポート”です。飛行機に搭乗するまでの一回ならず、二、三回提示するのです。帰国し、空港を出るまで幾回それを繰り返したことでしょう。

(人生の旅)

 「地上では旅人であり、寄留者であることを自ら言い表し・・」(ヘブル書11:13)とあります。実にこの地に生き、歩んでいること、わざをしているということは旅人としてのわざである事を知ります。しかも、どこに行くのか分からないのではありません。まさに天国に向かう旅人です。

 そのためには絶対持ち込んではいけない、ゆるされないものがあるはずです。

それは「いっさいの重荷と、からみつく罪とをかなぐり捨てて・・」とあります。

何が良く、何が悪であるのか、天国に向かっている私たちを破滅に至らせるものは何であるのかをチェックしていく必要があります。

 そして“パスポート”といわれるものであります。それは「この方以外に救いはない・・」と語られています。主イエスの十字架による救いの経験です。これをしっかりと検閲のとき、提示することができますように、確認いたすことです。必要なるものが無く、無くてよいもの、あるいは有っては鳴らないものが有る、と言うことがありませんように、と心から願います。

 人それぞれに生きているということは、一つの一回限りの旅であります。もちろん、他の宗教による教えには、“永劫輪廻”の思想がありましょう。永遠に不滅な霊魂が生き死にを繰り返すというのです。それからの解脱を求めて、お釈迦様が悟りを開いたと教えます。その悟りとは何なのか、解脱するにはどうしたら良いのでしょう。

 私たちには、確かなパスポートが備えられています。私を守り、保証するそれがです。与えられている人生の旅にて、それを確認しておることが何よりも大切なことです。

2006年9月号