「愛の賜物」Ⅰコリント13:1~7

 野田 信行牧師

 ここは愛についての有名なところですが、12章と14章の霊の賜物についての中心として書かれたものです。例の働きの目的は「全体の益となるため」(12:7)で、愛がなければ無に等しく、何の益もないものです。霊の賜物を7つ(人々の異言、天使たちの異言、愛、預言、秘義、知識、信仰)、賜物を用いる行いを2つ(施しと殉教)の計9つを挙げます。霊の賜物を用いる働きは色々ありますが(12:28)、もっと大きな賜物(12:31)は愛です。

 ここの愛(アガペー)は、「キリストが私たちのために死んでくださったことにより、神は私たちに対する愛を示されました」(ローマ5:8)という神の愛です。神の愛の実践である主イエスの生き方を思い出しながら、また自分(I、アイ)のこととして、聖書の中心的教えである愛の性質を聴かせて頂きましょう。

 初めに二つの肯定の表現で、愛の性質は「忍耐強い(寛容/新改訳)」、「情け深い(親切/新改訳)」。次に8つの否定の表現ですが、初めの3つは隣り人に対する心の問題で、「妬まない」は、足が手を妬んだり、耳が目を妬んだり(12:15、16)と他の賜物を妬まないことで、「自慢せず、高ぶらない」は、「目が手に、頭が足に、お前たちは要らない」(12:21)と考えないことです。次の5つは隣り人に対する行いの問題で、「礼を失する行い」は、女が祈りや預言をする時に頭にかぶり物を着けないこと(11:5)や、教会の集まりで各自が勝手に自分の食事を済ませ、空腹な者もいれば、酔っている者もいること(11:21)です。「自分の利益を求めない」は、偶像に献げた肉を食べることで誰かを躓かせるなら、食べる権利を使わないことです(10:24)。「怒る」は、不正を受けたらすぐにこの世の裁判に訴え出ることで(6:1)、「不正」は、コリント教会員が不正を働き、奪い取っています(6:8)。「 悪をたくらまない」は、神の救いの恵みに生きる者として悪から離れることです。「真理を共に喜ぶ」からは、否定からまた肯定の文に戻り、 愛と真理は共に喜ぶ良い仲です。

 愛の性質のまとめは、「すべてを」忍び、信じ、望み、耐えることで、主イエスが十字架につけられる姿を通して私たちに示して下さいました。

 愛は賜物であり神から賜るもので、人間自身の中には無いものです。主イエスは「求めなさい。そうすれば与えられる」(マタイ7:7)と約束されました。神は私たちが求めるのを待っておられます。素直に私に愛の賜物を与えてくださいと求めて、愛を持って今年一年も歩ませて頂きましょう。

2021年1月号