もう大丈夫

野田 栄美牧師夫人

 羊にとって、よい羊飼いが一緒にいるということは、とっても安心で、幸せなことです。何の心配もせず、栄養のある牧草を与えてもらえますし、きれいな水も十分に飲ませてもらえます。その生活の中に、心配のかけらが入り込む隙間も無いように、よい羊飼いによって守られているからです。

 イエス・キリストがお生まれになったベツレヘムの周辺は、乾燥した荒野だそうです。クリスマスのできごとの中にでてくる羊飼いたちは、羊の健康に適した、病気や寄生虫の少ない渇いた地域にいたけれども、一つ困ったことがありました。それは、緑の牧場が少ないということでした。

 そこで、羊飼いたちは、荒れ地を開墾し、不必要な切り株などを取り除き、深く耕して穀物を植え、水を通して牧草を育てたそうです。それは、途方もない労力を必要としました。でも、よい羊飼いは、羊のために労を惜しまず、最高の牧場を用意します。

 そんな羊飼いがいるのなら、わたしもその人の羊になりたいなあと思いませんか。この人といれば絶対大丈夫と、安心できるなんていいなあ、そういえば、子どもの頃は、親がいれば何の心配もなかったなあなんて、少し、疲れたため息をつきたくなったりしないでしょうか。

 小さなことですが、私はよい羊飼いに世話をして貰っているように感じることがあります。その一つが、日々のスケジュール管理のことです。このスケジュールはこなせないかもと心配していると、相手の方から、キャンセルの連絡があったり、予定がびっしり詰まった日に、相手の方の到着が遅れ、十分に準備できる時間ができたり。それも、ただ変わるだけでなく、相手の方にとっても、助けになるように整えられていくことが何度もあります。幸せが繋がって全て円満に導かれていくようです。

イエス・キリストはご自分を羊飼いであると語られました。私に日々起こるできごとは、羊飼いであるイエス・キリストが、羊である私のことを管理して守ってくださっているとしか言いようのない位に鮮やかです。

 「インマヌエル」という言葉には、「神がわれらと共にいます」という意味があります(マタイ1:23)。そして、これは、イエス・キリストの呼び名です。よい羊飼いであるイエス・キリストが羊である私と共にいるよ、という名前です。

 クリスマスは、よい羊飼いが私たちのところへ贈られてきた日です。もう、心配はいりません。どんな労力も惜しまずあなたを守って下さる方が来られたからです。もう大丈夫だよと、声を掛けてもらえる特別な日、それがクリスマスです。クリスマスの喜びが、あなたと共にありますように。

2018年12月号