見ないで信じる者に
安井直子牧師
イエス・キリストが十字架にかけられ、死んで墓に葬られて、3日目によみがえられたことを記念する「イースター」(復活祭)は、キリスト教会にとって大切な日です。
欧米諸国では盛大に祝われますが、日本ではまだクリスマスほど認知されていません。「キリスト教の教えは理解できるが、キリストの復活だけは信じられない。」という方も多くおられることでしょう。
イエス様の弟子であるトマスも、主の「復活」を信じられなかった一人でした。トマスは他の弟子たちから、「私たちは主にお目にかかった」と聞かされても、「私は、その手に釘あとを見、わたしの指をその釘あとにさし入れ、また、わたしの手をそのわきにさし入れてみなければ、決して信じない」(ヨハネによる福音書20:25)と答え、見ただけではなく自分の手を差し入れてみなければ信じないと固く心を閉ざしていました。
その八日後、弟子たちが集まっている部屋にイエス様が現れて、トマスに声をかけられてこう言われました。「あなたの指をここにつけて、わたしの手を見なさい。手をのばしてわたしのわきに差し入れてみなさい。信じないものにならないで、信じる者になりなさい。」(ヨハネによる福音書20:27)と語られました。
そして、優しいまなざしで「あなたはわたしを見たので信じたのか。見ないで信ずる者になりなさい」(ヨハネによる福音書20:29)とトマスに語られたのです。
「わたしは信じない」と宣言していたトマスでしたが、圧倒的な復活の主の臨在の前には、「わが主よ、わが神よ」としか言葉が出せずに、ただ主を崇めるのみでした。
トマスは実際にはイエス様を見ただけで復活を信じたのです。目の前に主が立っておられるという事実に、今まで自分なりの理屈をつけて信じようとしなかった心の中の壁が、一瞬のうちに取り払われたことでしょう。
今、私たちはトマスや弟子たちのように復活されたイエス様に、直接お会いすることはできません。でも、イエス様の十字架と復活の出来事を、聖書に記されている多くの証言を通して確かな事実として信じ受け入れることができるのは、主が与えてくださる信仰によるのです。これからも信仰によって復活され今も永遠の命の希望として私たちと共にいてくださるイエス様を、まことの救い主として礼拝しましょう。
そして、トマスのように復活を信じられないと思っている多くの人々が救われるためにお祈りいたしましょう。
2014年4月