闇に光を

山脇 望 牧師

 2000年前、ギリシャの哲学者が真昼にランプを持ち、明かりをつけて街を歩いておりました。「暗い、暗い」と呼びながら。その哲学者の目で社会を見た時、人を見た時、何とも暗い印象を受けたのです。

 それから2000年、同じその哲学者が今日の社会を見た時、何というでしょう。人の生活は大きく変わりました。人と人とが距離がはなれているというのに、そこにおるかのように話すことの出来る機械が発明され、月にまで人が足を踏み入れることができるほどになりました。

けれども、2000年前と比較してどれほど明るくなっているのでしょうか。「暗い、暗い」と叫んでしまう現実ではないでしょうか。
「そんな将来だとか、未来の事など、どうなっていくのかわからない。それより、今面白く、楽しく、好きなことをすることができたらよい」と、刹那的、短絡的生活に陥っているのではないでしょうか。この傾向がつよいようです。
このような21世紀です。もちろんこれは決して今はじまったことではありません。すでに暗いのです。暗さに慣れてしまい、否、暗いことさえも知らないのです。  そのようななかにありまして、

「あなたのみ言葉はわが足のともしび、わが道の光です」
                         (詩119-105)
・・・のように、ほんとうの光を知り、その中に歩んでいるのが私たちであり、教会です。とこしえに消えることのない光をいただいている幸いははかり知れません。

「光は闇の中に輝いている」のみ言葉のように、この年も歩んでいきましょう。 「あなたがたは世の光である」と語られます。この光を「枡」の下におくことがありませんようにと願っております。そのためには何よりもまず、まことの光である神の前に座し、その光をいただきましょう。光は自分で造り出すことはできないからです。

2001年1月号