熱いぞ、韓国

古川信一牧師

「うわあ、危ない、ぶつかるーっ!!」

思わず、私たちは叫び、そして足を踏ん張りました。ここは韓国、人工の灯りが一面にきらめく夜のソウルの街を、一台のタクシーが豪快に疾走しています。かなりのスピードが出ている気がして、ちらりとメーターを覗き込むと、針は90キロを指していました。

そこへ、遠く離れた前方に、一台の車が緩やかに横から進路に入ってきたのが見えました。前の車がどんどん大きくなり、間一髪というタイミングで停まりました。運転手に動じた様子は見えませんが、私は眠けが一気に吹っ飛んでしまいました。ほどなく車はホテルに到着しました。それにしても、韓国のタクシー、熱すぎませんか。

これは、4月12日(月)~15日(木)にかけて、研修のために韓国へ行ってきた中での出来事で、研修会が終わって、高速バスでソウルへ移動した直後の14日夜の、刺激的なワンシーンでした。

今回、私たちを含めて3組の牧師夫妻で、韓国の同じホーリネスの団体である大韓聖潔教団の教会開拓セミナーに参加しました。会場のスワンボ温泉ホテルは、ソウルから高速バスで、約3時間の道のりでした。

セミナーが終わった14日の午前、スワンボから海に近い、クンサンに移動して、聖潔教団の教会の水曜礼拝に出席しました。そこは、今日本で宣教師として働き、私たちをこのセミナーに誘ってくださり、同行してくださったS先生をサポートしている教会ということでした。

まず、一人の長老さんが経営しておられる店に案内されて、韓国の味でもてなされましたが、そのとき、アヒルの肉の鍋を初めて食べました。いろいろな韓国の料理に戸惑いつつ、どうやって食べるのかも教わりながらの食事でしたが、とにかく辛いものが多く、下手に手を出す(舌を出す?)と大変です。まさに、韓国は食事も「熱い」のです。

夜7時30分から、1時間程の礼拝に、300名ぐらいの方々が集まり、そのスケールに圧倒されました。そこで、一人の女性との素敵な出会いがありました。84歳の「きみこ」さんという方で、かつて名古屋の熱田で学ばれたというその女性は、私たちに歩みより、綺麗な日本語で話しかけてきてくださいました。

夜9時、クンサン発の高速リムジンバスに乗り込み、2時間半の道のりを、ソウルを目指してひたすら走るその途中、窓から赤い十字架がやみの中に、何本も浮かび上がっているのが、鮮やかに見えて、胸が熱くなりました。

学ぶことが多く、また、韓国の方々の熱い祈りと賛美が心に焼きついた熱い韓国の旅でした。

2010年5月号